ざったにっき

コンテンツを消費し続ける人生に終わりを告げる。基本的に消化したコンテンツを紹介するブログです。普段は看護師やってます。

【不適切問題?】第108回看護師国家試験の必修で出題されたBLS問題についてJRCとAHAを比較しながら考えてみる【正解は?】

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こんにちはびーえむです

まずは第108回看護師国家試験を受験された皆さん、お疲れ様でした。

今日から合格発表までドキドキするでしょうが、とりあえずはゆっくりと休みましょう。

臨床に来たらまた眠れない日々が続くかもしれませんから…(冗談)

さて、Twitter上で看護師国家試験についての話題を見ているとこんなツイートを見つけました。

 う~~~ん悩みどころが多い必修問題。

学生時代10年分の模試やってて思いましたが国試の必修ってたまに「その文章大丈夫か?」って問題チラホラ出るんですよねぇ…

結論から言うと最初問題文を見たとき、びーえむは2.胸骨圧迫が正解だと思いました。

ただ設問の文章に問題があるため、解釈次第では1.気道確保も正解です

なのでこの必修問題は不適切であると判断します。(※個人的な解釈です)

今回はその理由について、BLS、ACLSプロパイダーであるびーえむが解説していこうと思います。

※本記事はJRC(日本蘇生協議会)蘇生ガイドライン2015及びAHA(アメリカ心臓協会)発行のBLS,ACLSプロパイダーマニュアル(いずれも2015年版)に則って記事を執筆しています。誤った情報などがあればお問い合わせ、もしくはTwitter上でも構いませんのでご一報ください。すぐに該当の箇所を訂正及び削除致します。

 

 

なぜBLS問題は不適切問題になるのか?

傷病者に反応がなく、呼吸がないか異常な呼吸(死戦期呼吸)が認められる場合、あるいはその判断に自信が持てない場合は心停止、すなわち CPR の適応と判断し、ただちに胸骨圧迫を開始する。

出典:https://www.japanresuscitationcouncil.org/wp-content/uploads/2016/04/1327fc7d4e9a5dcd73732eb04c159a7b.pdf

 現在最新のガイドラインではこのように記述されています。

ですが、この後にこう続きます。

市民救助者が呼吸の有無を確認するときには、医療従事者や救急隊員などとは異なり、気道確保を行う必要はない。胸と腹部の動きを観察し、動きがなければ「呼吸なし」と判断する。

出典:https://www.japanresuscitationcouncil.org/wp-content/uploads/2016/04/1327fc7d4e9a5dcd73732eb04c159a7b.pdf

 こう思ったことでしょう。

えっ!?てことは医療従事者は気道確保の方が優先度高いじゃん!

そう思いますよねえ。

AHA(アメリカ心臓協会)のBLS

ここでAHA(アメリカ心臓協会)が医療従事者向けに発行しているACLSプロパイダーマニュアルを参照してみましょう。

まず訓練を受けた医療従事者(プロパイダー)が倒れている患者を見つけた後の行動手順について記したマニュアルです。

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今回の場合BLSアセスメントの項に従ってみます。

同著書では

1,反応の有無を確認する

  →肩などを軽くたたき、「大丈夫ですか!」と大きな声で尋ねる

2.近くにいる人たちに助けを求め/救急対応システムの出動を要請し、AEDまたは除細動器を用意する。

  →大声で周囲に助けを求める。救急対応システムに通報する。利用可能であればAEDを用意する。

3,呼吸と脈拍を確認する

  →胸が動いてるかどうか目で確認し(5~10秒)呼吸の有無または異常をチェックする。「心停止の検出及びCPRの開始の遅れを最小化するため、理想としては、脈拍と呼吸の確認は同時に行う」10秒以内に脈拍が無い場合は、胸骨圧迫からCPRを開始する。

4,除細動

  →脈拍が無い場合は、AEDまたは除細動器が到着次第、ショック適応のリズムの有無をチェックする。

(出典:ACLSプロパイダーマニュアルp.36 AHA:著)

 とあります。

実際は呼吸を確認するときに気道確保も行うんですが、資料には医療従事者は先に気道確保を行うとは明記されていません。(臨床では絶対に気道確保もしてね!)

気道確保を行うことを明記しているのは人工呼吸の項目からです。

JRC(日本蘇生協議会)蘇生ガイドラインのBLS

第2章成人の二次救命処置の部分に記載がありました。

市民救助者と異なり、医療従事者や救急隊員などは、反応がない患者にはまず気道確保を行った上で呼吸の観察を行う。ただし,気道確保に手間取って,呼吸の観察がおろそかになったり,CPRの開始が遅れないようにするべきである。

出典:https://www.japanresuscitationcouncil.org/wp-content/uploads/2016/04/0e5445d84c8c2a31aaa17db0a9c67b76.pdf

 

しかし重要な点として2015年からはこちらも追記されています。

心停止を疑ったら、救助者は気道確保や人工呼吸より先に胸骨圧迫から CPR を開始する。

出典:https://www.japanresuscitationcouncil.org/wp-content/uploads/2016/04/1327fc7d4e9a5dcd73732eb04c159a7b.pdf

 医療従事者関係なく、心停止と思ったらすぐに胸骨圧迫しろ!ってことです。

これはJRC(日本蘇生協議会)でもAHA(アメリカ心臓協会)でも同じ見解であると考えられます。

もう一度問題文を読み返して整理してみる

呼びかけに反応の無い患者に対し、医療従事者が行う一時救命処置<BLS>で最も優先するのはどれか?

この問題から得られる情報は”①呼びかけに反応の無い患者、②医療従事者である場合最優先するものは何か?”という部分だけです。

ガイドラインをご覧になった方や知っている方ならお分かりになっているのでしょうがこの問題、解答欄に行くまでに時空が歪んでます

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出典:https://www.japanresuscitationcouncil.org/wp-content/uploads/2016/04/1327fc7d4e9a5dcd73732eb04c159a7b.pdf

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そう!必修問題のお前!!

お前がまず優先すべきは助けを求めてから、呼吸と脈拍の確認をすることだ!!

…まあ実際臨床では観察とアセスメント(呼吸脈拍の確認や気道確保を含む)をしてから助けを求めることがほとんどじゃないんでしょうか。(ある程度状況を把握して説明できないと、現場が混乱して余計に処置が遅れるため)

 臨床と座学は状況によって違うんだよ!

問題の文章からどれだけ読み取るかで解答が変わる

この問題は少ない情報から、どれだけ現場の状況を想像するかによって解答が変わってしまう問題です。

①意識の無いという情報だけなので、医療従事者ならまずは気道確保しながら呼吸と脈拍の観察をするべきだ!という考え方。

②2015年のガイドライン更新から心停止を疑う状況の場合はまず胸骨圧迫をするべきだ!という考え方。

実際臨床で必要な手順は①であると思います。

なので、これらの情報を鑑みる限りでは正解に限りなく近いのは1.気道確保です。

正確には気道確保しつつ呼吸と脈拍の確認ですかね。

②は意識が無いというだけで心停止を疑っていいのか…?という疑問に駆られますよね。

しかしBLSの現場において優先順位の基本はC(循環)→A(気道確保)→B(呼吸)、つまり胸骨圧迫が最優先です。

問題文には"最も優先すべき"と書かれており、"まず行うべき処置"とは書いていません。

そう考えると答えは2.胸骨圧迫になってしまいます。

例年難しくなっているとはいえ、全てのアルゴリズムに明記されておらず、こんなややこしい状況設定を必修問題に挙げるでしょうか?

やはり出題者側のミスリードであると思わざるを得ません。

Twitterの医療従事者たちの回答

 

 

 

 

 Twitter上では実際の臨床で必要として1.気道確保が正解という意見が多い様子。

ただ、ガイドラインを確認したりBLSの研修を受けた人たちで正解は胸骨圧迫だ!と主張している方もいます。

ここは日本なので、JRC蘇生ガイドラインに沿うのが基本だとは思いますが、必修問題でそんな重箱の隅を突くような問題出すのかなあ?ってのが正直な感想。

 不適切にならないよう正しく問題を作ってみた

呼びかけに反応が無く、呼吸と脈拍がない患者に対し、医療従事者が行う一時救命処置<BLS>で最も優先するのはどれか?

①気道確保

②人工呼吸

③胸骨圧迫

④除細動

正解:③

これで不適切回避!

いやお前これ自分の胸骨圧迫を正解にしたいだけじゃん…

ギクッ!

気道確保が正解になるパターンも作った

呼びかけに反応の無い患者を発見し、呼吸と脈拍の確認を行う際に医療従事者が行う一時救命処置<BLS>で最初に実施すべき処置はどれか?

①気道確保

②人工呼吸

③胸骨圧迫

④除細動

正解:①

 

これには厚労省さんもニッコリ!

お前、消えるのか…?

ヒェッ!

助けを呼ぶことが正解になるパターンも作った

訪室すると呼びかけに反応の無い患者を発見した。医療従事者が行う一時救命処置<BLS>で最初に取るべき行動はどれか?

①直ちに胸骨圧迫を開始する

AEDを取りに行く

③人工呼吸を開始する

④周囲のスタッフに助けを求める

答え:④

こっちの方が大事じゃね?

問題の原型無くなってきたな

BLSは最新の正しい知識を身に着けよう

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今回の件でTLを見ていると、どうやら2010年から情報が更新されていない人も散見されました。

BLSのガイドラインは5年毎に更新されるため、現在最新のガイドラインは2015年版です。(次の更新は2020年)

実際の臨床の現場で最も効果的にチームワークを発揮できるかは、全員が同じ知識を共有できているかにかかっていると、個人的に思っています。

ぶっちゃけ今回の問題の気道確保と胸骨圧迫の順番よりも、適切な評価を行って質の高いCPRを行えているかの方がはるかに重要です。(つまり、実技)

座学より実技を優先しろ!って言ってるわけじゃないんですが、医療従事者でも非医療従事者でも、助かる命を助けられるように学んでいく姿勢が大事なんじゃないかなあと、自分を省みてそう思います。

ここでAHAの宣伝ですが、BLSプロパイダーやACLSプロパイダーは受講しておくとなにかと役に立ちますよ。インストラクターの知識に圧倒されたり、チームワークの練習したり、すげー楽しいです。

ACLSの記事は書き損ねたんですが、BLSの記事は書いてます。

www.bmw-zakki-routine.com

 

それではまた。